「英単語学習をしてるけど正直学んだ単語を使う機会が少ない」「教科書に出てくるような英語じゃなくて、ネイティブが話してるような話し方ができるようになりたい」と思う方、結構多いと思います。
私もその一人で、日本で市販されてる英単語帳は、役には立つものの、普段の英会話で使う頻度が少ない単語が多く、覚えた知識も忘れがちになるなあという問題点を感じてました。
また、英語話者と会話する時に出てくる特有の熟語表現が理解できずに、何度も後で調べなければならないということがありました。
同じようなモヤモヤ感を感じる人に、この”Distinctionシリーズ”はすごくおすすめできます。
1.”Distinction”の信頼度と入手先
“Distinction”の著者はAtsueigoを主催するAtsuさんと英語のネイティブスピーカーが監修を行うチームです。
Atsuさんは、TOEIC 990点満点、英検一級、TOEFL114点、IELTS 8.5、 Versant80点満点という高い英語力を、留学経験なしで身につけてこられた方です。大学卒業後は、オーストラリアに移住し会計監査法人で働かれた後に帰国され ています。主催するAtsueigoでは、英語学習に役立つ情報をブログやYouTubeで発信されているので、英語系Youtuberとしても有名です。
そんなAtsuさんが日本で英語学習に取り組んでいた時に、「こんな英単語帳あったらいいのにな」と思ったものを具現化されているのがこの”Distinction”です。
“Distinctionシリーズ”は、Atsuさんが主催されている英語メディア、Atsu英語のホームページから購入が可能です。ご興味のある方は是非訪問されてみてください。
Atsueigo公式サイト https://atsueigo.com/
Distinction公式サイト https://distinction.atsueigo.com/
2.特徴①:【すぐに使える!】ネイティブの会話の中で出現頻度が高い独特の英語表現を収録
ここからは”Distinction”の特徴について紹介します。
市場でよく売れてる単語帳を使ってみると気づくことですが、収録されている単語は、種類にもよりますが、案外実際に使われることはそこまで多くはありません。オンライン英会話を始めたなら、ネイティブにかかわらず英語話者の中で話されてる言葉の多くはPhrasal Verbsといって、いわゆる熟語になっていることが多いことに気づくでしょう。さらにネイティブスピーカーは、本来の意味から離れたことわざのような表現もよく話します。
例えば私達も日本語で
「棚ぼた」
「二階から目薬」
「七転八倒」
などという、すごく便利ですが見ただけでは全くその本来の意味が分からない言葉をたくさん使ってます。このような語彙をひとまとめにしてくれているのが”Distinction”です。こういった言葉をまとめてくれている単語帳は非常に少なく、”Distinction”が最もユニークなポイントの一つです。
3.特徴②:【ネイティブ発音を覚えられる!】音の変化・脱落を反映した発音記号を表記
英語では100%スペル通りに単語を話すことはほとんどありません。英語の特徴として、単語同士の音がくっつく傾向があります(リエゾンといいます)。またスペルにはある文字が実際には発音されないことがあります(リダクションといいます)。
リエゾンやリダクションを押さえないと、実際に使われてるシーンでも何を話してるのか全く分からなくなりますが、”Distinction”ではリエゾンとリダクションを反映した、実際に聞こえるであろう発音記号を掲載しています。ネイティブスピーカーの話が分かるようになるだけではなく、その発音記号に沿って練習すれば、自分も同じ発音を手に入れることができます。
4.特徴③:【使用シーン付きで覚えやすい!】各語彙・構文に対し2つずつの例文
単語帳を学習するとき、例文がついてると非常に覚えやすいです。なぜならその単語がどんなシーンで使われているのかをイメージできるからです。
また単語にはよく使われる他の単語のコンビネーションがあり、これも日本人にとって馴染みが無く難しいポイントです。例えば、名詞を使う時、その前にくる動詞がhaveなのかtakeなのかgetなのか迷ったことはありませんか?
“Distinction”では、各語彙・構文に対し2つずつ例文が収録されてます。必ず2つのシーンでその行為が使われているのを確認できるので理解度が高まります。さらにこの例文が実際に使いそうなリアル感のあるものなので、そのまま覚えてしまっても大丈夫なのも嬉しいポイントです。
5.特徴④:【記憶に残りやすい!】英語表現の語源や由来を解説
先ほど日本語の例えで出した「棚ぼた」「二階から目薬」「七転八倒」。
なぜこれらを私たちは理解して簡単に使うことができるのでしょうか?それはこの表現が生まれる理由となったストーリーを理解しているからです。英語でことわざ的な表現を覚える場合も、裏側にあるストーリーを理解できると記憶に残ると思いませんか?
“Distinction”では、なぜその表現が生まれたのかについて、一つ一つの成り立ちの解説があります。英単語学習は反復を繰り返すので少し面白味を感じなくなる時がありますが、成り立ちを読みながら進めれば知的好奇心が満たされるので、飽きずに学習を進めることができますし、より記憶に残りやすいです。
6.特徴⑤:【レベル調整可能!】日本語と英語での意味の説明を併記
英語は日本語と違う言語なので、厳密には英語の意味を日本語に完璧に置き換えることはできません。英語を英語で説明する方がよりニュアンスに正確に迫れることがあります。このようにもう少しレベルを上げた学習をしたい場合も“Distinction”なら対応が可能です。
各語彙・表現について日本語での対語訳に加え、英語での対語訳が併記してあります。英語の意味を英語で理解することに挑戦すれば、頭の中でいったん日本語に直す癖を修正して、英語で直接考えることができるようになります。
7.特徴⑥:【思い出し学習が捗る!】学習時に意味や解説が目に入らないレイアウト設計
学習した単語を効率的に記憶に残すには、”思い出し学習”がとても有効です。思い出し学習とは、学習した内容を答えを見ずに思い出そうとする学習法です。人は思い出したものを重要な情報として認識しているそうで、思い出したものは記憶に残りやすいです。
思い出して欲しいのですが、赤シートを使った思い出し学習を学生の頃行った記憶はありませんか?あれは実は脳の機能的にも効率の高い学習法だったわけなのですが、やろうとすると次のページに移るとき、隠す前に一瞬チラッと情報が目に入ってしまいます。これにより思い出し学習の効率が下がってしまいます。
“Distinction”ではページの外側に英単語を、内側にその意味を配置する工夫がしてあります。 ページを半開きにして見れば、中が見えない仕様になっているので、思い出し学習をする場合に非常に効率的です。もちろん赤字表記+赤シートも単語帳らしく付属しています。
8.特徴⑦:【何度も触れるから記憶に残る!】収録されている語彙構文が、シリーズを通して例文に登場
単語帳を学習していると、1単語につき1例文、それが1000個も2000個もあるので、どうしても単語ごとの情報のインプット時間が短くなってしまいます。せっかく覚えたと思っても、なかなか思い出せないことって結構あります。
“Distinction”では革命的な方法で、この単語帳が持つ構造的な欠陥に挑戦しています。収録されている語彙・構文が他の語彙・構文の例文に複数回登場します。つまり一周“Distinction”を読むと、3〜5回くらい同じ表現に出会えることになります。
特徴⑥で述べたように、思い出し学習は記憶に残りやすい効率的な学習です。強制的に同じ表現に出会えるように設計されているので、何も考えずとも効率の良い学習を行うことができるのです。
現在“Distinction”はⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Structuresが発売されています。シリーズを通して以前学習した内容が例文に登場するので、復習をしながら新しいものを学習するという超効率的な学習が可能です。数ある特徴の中で、これが一番革新的だと思います。
9.特徴⑧:【科学的な学習方法が簡単に!】Active Recall学習の方法を提案(”Distinction Ⅳ” “Distinction Structures”限定)
これは2022年2月に新しく発売した“Distinction Ⅳ”と“Distinction Structures”限定の掲載なのですが、先ほど紹介した思い出し学習をサポートしてくれる機能です。
エビングハウスの忘却曲線という有名な理論があります。人の脳は忘れていくようにできており、復習をすることで記憶の定着率が高まるという理論です。実は最も効率の良い復習のタイミングというものはすでに研究されており、それを英語学習に応用すれば、それほど時間をかけなくても記憶の定着率が比較的高まることが分かっています。しかしそれを考えながら実施するのはなかなか骨が折れます。
“Distinction”では、この思い出すタイミングをいつにするかをあらかじめ提案してくれていて、何も考えずともそのタイミングで復習を行えば、記憶の定着を高めることができます。 私は思い出し学習と書いていますが、“Distinction”では“Active Recall”と呼んでいます
10.特徴⑨:【音声学習で効率UP!】MP3音声無料ダウンロード
単語帳で勉強するときは、音声を使って学習するのが効率を上げるのに必要です。CDに収録してある英単語帳もありますが、最近のパソコンではそもそもCDドライブが付いてない機種もあり、CD自体がイマイチ使い勝手の悪い媒体になってます。
“Distinction”では、CDの代わりに音声ファイルのダウンロードURLから直接パソコンにダウンロードできる仕様になっていて便利です。
収録されてる音声は、ネイティブの標準的なスピーキングスピードになっているので、そのスピードについていくことができれば自然に会話でも使えるようになります。最初は早いと感じるかもしれませんが、繰り返しオーバーラッピングやシャドーイングなどの音読学習を繰り返すことで、徐々に使えるようになります。
11.その他の特徴
他にもユニークな特徴があります。
- 効率的な英単語英語表現の覚え方についてのまとめ記事
- 音の変化と脱落の法則についてのまとめ記事
- 持ち歩きが楽しくなるスタイリッシュなデザイン
これらのまとめ記事は読むだけでも英語学習を効率化するためのヒントになります。私自身もYouTubeでAtsuさんが発信されている動画を見て、効率的な学習法について学んだ経験があります。英語学習の戦略を早めに確立することは、非常にコスパの良い行為だと自信を持って言えます。
12.学習後の英語力の変化
私が“Distinction”で学習に取り組んだのは約半年間です。私は仕事でネイティブと話す機会がありますが、以前は彼らがよく使ってる英語表現についてあまりにもわからないと感じる量が多く、 なんとかキャッチできたものを逐一調べてようやく自分のものにしていくという作業を地道にやっていました。しかし途方もない作業をやっているような感覚でした。
“Distinction”の学習に取り組んでから、彼らの言葉の9割以上が理解出来るようになりました。また今までは言いたいことにしっくりくる表現を知らないがために回りくどい説明(例えば、棚ぼた⇛思いがけない幸運が突然訪れること、と言っていました笑)が簡単に言えて、しかもそれがよく通じるので、英語でコミュニケーション取るのがすごく楽になりました。
また“Distinction”に収録されている語彙・構文は、英熟語であることが多く、必然と収録されている例文も英熟語がふんだんに入ったものになっています。英単語一つ一つが難しいわけではないのですが、文の切れ目を意識しないと簡単に意味が分からなくなるので、学習時は意味を塊ごとにつかむ事に集中していました。そのおかげか、リスニングにおいても塊ごとに意味を理解することを、頭で考えず感覚でできるようになりました。
13.”Distinction”で学習する前に整えておきたい条件
これまで“Distinction”が他の単語帳にない特徴を備えていることを説明してきました。「こんなに良い単語帳ならすぐに取り組んだ方がいいじゃん」と思う方もいらっしゃることでしょう。しかし私の経験から言える、“Distinction”の学習を最大化するために確認してほしいポイントが3つあります。
・英単語・文法・発音の基礎を終わらせておく
“Distinction”で収録してある語彙はいわゆる英熟語が多いため、基礎的な英単語が分からないと理解度が下がってしまいます。その都度調べるのでも良いかもしれませんが、サクサク進めないとストレスになって挫折の原因にもなってしまいます。
また例文は、英熟語の組み合わせとなっているため、基礎的な文法知識がないとどの表現がどの意味を示しているか理解しづらいため、ここでも学習効率を下げてしまいます。
最後に発音ですが、確かに発音についてのまとめ記事が掲載されているものの、一つ一つの発音記号の発音方法について音声付きで解説しているわけではありません。私も経験がありますが、いわゆる英語っぽい発音を自己流で身につけて学習を進めてしまうと、後で直すのに時間がかかります。
これらの学習は効率を上げるために先に終わらせておくのをおすすめします。
・瞬間英作文に取り組んでおく
“Distinction”で学んだ英語表現は、会話の中で使っていくことで初めて使える語彙として定着します。そのまま使いたくなる例文が豊富に収録されているとはいえ、そのまま自分の会話の中で使っていくシーンは限りなく少ないと思います。つまり自分でとっさに英作文できる力がないと、実際に会話の中で使う際に不便を感じてしまいます。
このブログでも紹介してる、瞬間英作文に取り組めば、簡単な単語を使ってとっさに英語の文を作る力を短期間でもかなり磨くことができます。先に英語の運用能力を高めておいた方がその後の学習がスムーズになることでしょう。
・リアルで英語を話す機会を確保する / オンライン英会話を契約しておく
先ほどもお話ししたように、学んだ表現は会話の中で使ってみて初めて使える語彙知識として定着します。使うためには誰かとの会話機会を確保することが最も効率が良いと言えます。リアルで英語を話す相手がいるのであれば、その人との会話の中で、そういう環境にない方であれば、オンライン英会話のDMM 英会話やレアジョブを契約しておくことで、毎日英語を話す環境が手に入ります。
学んだものを使ってみて失敗し、正しい使い方をもう一度学び直し、再度会話の中で使ってみることで、使えるアクティブボキャブラリーがどんどん増えていく好循環に入ることができます。オンライン英会話についてもっと知りたいという方のために、私のブログでもいくつか紹介記事を書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今回は英語学習を始めた方なら誰もが一度は目にするであろう、“Distinction”のレビューを作成してみました。Distinction学習にはまると、自分の英語力を何段もレベルアップさせることができる感覚を味わうことができると思います。
上記では紹介をしてませんが、一冊あたり3500円(税込)と、他の単語帳と比べるとかなり強気な価格設定になっています(複数冊購入で割引あり)。しかし自分の英語力を短期間で明確に向上させることのできるツールであると断言できるので、私は満足していますし、迷ってる方がいれば背中を押すことができます。
しかしながら何事にも当てはまることですが、学習に取り組む条件が揃っていないために、効率が上がらず面白みを感じないということはあり得ます。英語学習の方法を見直す中で“Distinction”がうまく機能しそうだと思えば、是非取り組んでみられてはいかがでしょうか。
Practice makes perfect!
1回あたりのレッスンがとても安いのですが、講師の質も良く、コストパフォーマンスに優れています。ビジネスパーソン向けの教材が揃っているので、仕事で使えるハイレベルな英会話を身につけたい人におすすめです。