英語の学習をはじめると、「どれくらい勉強すれば喋れるようになるのかな」「どれくらいでレベルアップできるのかな」と考えることもあるでしょう。それは正しい反応だと経験してみて思います。
一方で、世の中には「1日10分でOK」「勉強アプリを楽しむだけで英語力が伸びる」などといった、勉強を始める人にはとっても優しくて甘い言葉にも溢れています。
今回はどのくらいの学習時間が望ましいか、私の経験も踏まえながら、誰もが抱く「1日何時間で英語力は伸びるのか?」について迫ってみたいと思います。
1.1,000時間理論と1日3時間を学習の目安にする考え方
1,000時間理論という学習理論をご存知でしょうか?
1,000時間というキリの良い数字を使いながらも、ある程度学習の量が必要だと想起させるような丁度よい時間設定だなと思います。
ここでは、1,000時間理論について述べている別の方のブログ記事を引用させていただきます。
日本人が英語を習得するのにも同様の2200時間が必要だと言えます。
しかし、私達日本人は中学・高校の英語の授業で既に約1200時間の英語を学習済みです。つまり、理論的には、残り1000時間の英語学習をすれば英語をマスターできるということになります。
引用元:ペラペラ部 英語学習における1,000時間理論の問題点と解決法
この記事にも記載があるのですが、1,000時間を達成するには、1年なら1日約3時間、2年なら1日約1.5時間の学習継続が必要になります。
さて、この1日3時間や1日1.5時間は果たして長いのでしょうか、短いのでしょうか。
2.英語学習を習慣化する目的で、1日に短時間の学習で良しとする考え方
逆に1日に学習する時間は短くても良いという流派?もあります。主に忙しい社会人をターゲットにした記事でよく見られる主張です。
ここでも、1日30分学習すると良いと主張されているブログ記事を引用させていただきます。
1日30分は集中して英語に向き合う
社会人などの忙しい方は、通勤時間や休憩中などの時間を活用して学習することもあるのではないでしょうか?スキマ時間の学習も効果的ですが、加えて1日30分英語と向き合う時間を作ってみてください。
「たったの30分」と思うかもしれませんが、時間が短い分、集中力が維持しやすいですし、学習時間が濃いため英語もスキルアップしやすいです。また、30分の学習を毎日続ければ、前日覚えた内容も頭に入っているので、復習に時間が掛かることもありません。
引用元:LIBERTY 英語学習を習慣化しよう!1日30分の学習方法とは?
主張の内容は、1日30分であっても集中して学習ができるので継続がしやすい事と、かえって学習効率は上がるというものです。1,000時間学習に当てはめてみると、1日30分なら1,000時間を達成するのに合計4年かかることになります。
3.英語学習法必要時間に関する主張のあれこれ
察しのよい方ならお気づきかもしれませんが、この相反する2つの主張は、それぞれが届けたいターゲットの差によって生まれています。
前者の1,000時間学習は、努力を厭わず学習したい層に向けたメッセージであり、後者の1日短時間の学習でもOKとする派は、英語を学習する層の裾野を広げたいという思いで作られたメッセージと言えるでしょう。
どちらが良いと断定するつもりも全くありませんが、自分自身の経験も踏まえて考えると、1日にかける学習時間が短ければ短くなるほど、英語の習得にかかる時間は長くなるであろうということは容易に想像がつきます。
4.誰も言ってくれない1日の学習時間と学習のモチベーションの関係性
私はどちらかといえば、1,000時間学習の考え方に近い考え方を持っていますし、実際に英語学習を習慣化して約3年学習を続けています。そこで私の経験を踏まえて、実際に行った人にしかわからない真実をお話ししたいと思います。
それは「やればやるほどモチベーションが上がり、やらなければやらないほどモチベーションが下がる」ということです。
別の言い方をすれば「1日あたり短時間で良いと考えていると、その短時間の学習ですらモチベーションが下がるために続けることができない可能性がある」ということです。
これには2つの理由があります。
学習に時間をかけているので、かけた時間を取り戻したいという意欲が働く
1日3時間学習した場合と30分学習した場合、どちらが簡単に見切りを付けられるでしょうか?
学習にかけた時間が長ければ長いほど、その学習に対してのこだわりも生まれますし、英語学習の方法についても多くの情報収集をしているはずですので、うまくいかなかった場合の方向転換もよりスムーズに行えるでしょう。
逆に30分であれば、他の英語学習の方法を調べたりすることも、長時間学習派に比べると少ないでしょうし、こだわりも少ないと思われます。
時間をかければかけるほど短期間で成果が出やすい
英語学習にも効率という概念は存在しますし、常に効率を考える方が成果を高められるのは間違いありません。
しかしながら基礎固めにはそれなりにまとまった時間がかかります。基礎を固めると簡単な英会話くらいならできるようになり、それがモチベーションになって次の目標を目指す原動力となります。
時間をかけない場合、この小さな成功体験が訪れるのが先になってしまうので、勉強を続けてても成果を感じられず、途中で挫折してしまう可能性も上がってしまいます。
5.私が1,000時間学習を達成した時点での英語力
私自身1日3時間の学習を続けたので、英語学習を再開してから約1年で1,000時間の学習時間を達成したことになります。その時点でできたことが以下の通りです。
- 限られた語彙や構文を使いこなし、自分の関心のある話題についてディスカッションができる
- 英語のニュースは何度も同じものを聴けば理解できる
- 洋画や洋楽は英語字幕をつければなんとか理解ができる
いかがでしょうか?おそらく皆さんが想像する、「英語ができる」という目標からしてみれば最低限といったところではないでしょうか。
この経験から言えることは、やっぱり3時間くらいは短期間で積み上げないと、本当に自分が得たい英語力を身につけるのにはとてつもない時間がかかってしまうということです。
6.物理的に時間が確保できない時の学習方法の工夫
約1,000時間の学習が英会話者としてのスタートラインに立つのに必要だということがわかったところで、
「そんなこと言っても1日に3時間なんて確保できない!」
という声はあると思います。ここでは、私も取り入れていた無理なく英語に触れる時間をかさ増しする方法について共有したいと思います。
普段日本語でやってて困らないものを英語に変えてみる
携帯電話やパソコンの言語設定、毎日見るニュースの副音声・英語視聴。
考えただけでも英語にすぐスイッチしても困らない物って身の回りにないでしょうか?
Google検索を全て英語でやるという手もあります。毎日趣味で見ているYouTubeを英語のコンテンツのものに変えてみるとか、観ている映画を洋画に変えてみるとか、考えただけでも結構出てくるのではないでしょうか。
移動中のお供を英語のPodcastに変える
移動中、手や目は空かなくとも、耳が空いてることは結構あると思います。電車移動でも車移動でも、可能であれば英語のPodcastを視聴してはいかがでしょうか。
初心者向けのものでも構いませんし、内容が理解できなくても最初は全く問題ありません。 私が聞いていたのは「Hapa 英会話Podcast」と「All Ears English」です。どちらも初中級者向けでとっつきやすい内容になっていますし、話の内容自体も英語学習の手助けになるような話が多いので、コンテンツ自体も楽しめます。
7.私の英語学習の時間の組み立て方
最後に、私が組み立てていた英語学習の時間の使い方について、参考までにお話します。
結論から言えば、1,000時間学習と30分学習の良い所取りの学習をしていました。
どういうことかと言うと「使用教材別に30分の学習サークルに分けて、それを繰り返していた」ということです。1単元あたりの集中力は確保しつつも、全体ではまとまった学習時間を確保していました。
例えば、このような学習の組み立て方をしていた時期がありました。
- 英単語学習30分
- 英文法学習30分
- 瞬間英作文30分
- オンライン英会話30分
- Podcast・ニュース視聴30分×2回
合計3時間
Podcastやニュース視聴に1時間かけているので、実質2時間勉強して1時間は趣味の時間だったということになりますが、しっかり1日3時間英語に触れることができています。
この発想を取り入れれば、1日2時間〜3時間くらいはなんとか英語に触れる時間を確保できる可能性がグッと上がると思います。
まとめ
1日3時間が私の経験から言えるおすすめの学習時間なのは間違いないですが、あまり根を詰めすぎないでください。そのうちの1時間は半分趣味で英語を聞いていると言う時間にあたり、やってみるとあまり勉強勉強してる感覚ではなくなります。
1日まとまった学習時間を取るのに躊躇しているのは、まだ英語学習自体が楽しめてない段階にあるからだと思います。工夫が成果になり、コミュニケーションを楽しむことができるようになれば、自然と英語に触れる時間は増えていきます。是非楽しみながら英語に触れる時間を増やしていきましょう。
Practice makes perfect!
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